おばあちゃんの食養生ブログ

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寒露の養生|陰虚質・百合根と梨のホイル蒸し レモン塩こうじ香り仕立て

福島の里山では、朝の空気がひんやりと澄み始め、稲穂が黄金色に頭を垂れる季節になりました。田んぼのあぜ道を歩けば、足元には露がきらりと光り、空の青さが一段と深くなっています。十月八日ごろに訪れる「寒露」は、露が冷たく感じられるようになる節気。夏の熱が静かに引いていくこの時期、私たちの体もゆっくりと秋モードへと移り変わっていきます。

 秋は「燥」の季節です。空気が乾燥し始め、体の潤いが少しずつ奪われていきます。陰虚質の方にとって、この季節は一年の中でも特に注意が必要な時期です。もともと体の水分や陰液(うるおい・栄養となる液体)が不足しがちな陰虚質の体は、秋の乾燥によってそのバランスがさらに崩れやすくなります。空咳が出やすくなったり、肌がかさかさしてきたり、夜になると手足がほてって眠れない……という方は、この季節に体からのサインが届いているのかもしれません。

 薬膳では、秋は「肺」と深く関わる季節とされています。肺は呼吸だけでなく、体の水分を全身にめぐらせる役割も担っています。乾燥した空気が肺に入ると、体の潤いをさらに消耗してしまいます。だからこそ、陰虚質の方は「潤す・冷ます・補う」という三つの視点を意識した食事がとても大切になってくるのです。辛いもの、味の濃いもの、アルコール、揚げ物などは体の熱と乾燥を助長しやすいので、この時期はできるだけ控えめにするといいでしょう。

 陰虚質かどうか、まず自分の体質を確認してみましょう。「こんな方は陰虚質かもしれません」というサインをいくつかご紹介します。

・夕方から夜にかけて手のひらや足の裏がほてる ・口や喉が乾きやすく、特に夜中に目が覚めて水を飲みたくなる ・肌や髪が乾燥しやすく、目が疲れやすい ・体は細めで、暑がりなのに体力は続かない ・寝汗をかきやすく、睡眠が浅い

 このうち二つ以上あてはまる方は、陰虚質の傾向があるかもしれません。秋の養生として、今日からできることを一つ始めてみてください。

 この季節の陰虚質の方におすすめしたい食材をご紹介します。まず「梨」です。秋の代表的な果物である梨は、薬膳では涼性・甘味・微酸味で、肺と胃に働きかける食材とされています。明代の『本草綱目』では、梨は肺の熱を冷まし、喉を潤す効能があると記されており、秋の乾燥対策として古くから重用されてきました。現代栄養学でも豊富な水分とビタミンCが注目されており、潤いを補いたい秋にぴったりの一品です。

 次に「百合根(ゆりね)」。百合根は平性・甘味・微苦味で、肺と心に帰経します。体の熱を静め、心を落ち着かせる作用があるとされ、陰虚による不眠やほてりにも古くから使われてきた食材です。スーパーの野菜コーナーでも秋になると見かけるようになりますよ。ほくほくとした食感と淡い甘みが特徴で、料理に取り入れやすいのも魅力です。

 もう一つ「白きくらげ」も忘れてはなりません。薬膳の世界では「植物のツバメの巣」とも呼ばれるほど潤い効果の高い食材で、肺と胃を潤す代表的な補陰食材です。

 それでは、これらの食材を使ったレシピをご紹介しましょう。本格薬膳の考え方を取り入れた手軽なレシピです。

今日のレシピ:百合根と梨のホイル蒸し レモン塩こうじ香り仕立て

材料(一人分) ・百合根 50g(一株分をほぐしたもの) ・梨 1/4個(皮をむいてひと口大に) ・えのきだけ 1/2袋 ・白きくらげ(乾燥) 3g(水で戻してひと口大に) ・塩こうじ 小さじ1、レモン汁 少々

作り方 ・白きくらげは15分ほど水で戻し、石づきを取ってひと口大にほぐしておきます。 ・アルミホイルを広げ、えのきだけを下に敷き、百合根・白きくらげ・梨を重ねます。 ・塩こうじをまんべんなくかけ、最後にレモン汁を数滴たらして包みます。 ・フライパンに少量の水を入れてホイルを置き、ふたをして中火で10〜12分蒸します。

薬膳的な効能  百合根の補陰・安神作用、梨の潤肺・清熱作用、白きくらげの滋陰効果が一つにまとまったレシピです。塩こうじの発酵の力が消化を助け、胃腸にも優しく働きます。レモンの酸味は「酸甘化陰(さんかんかいん)」といって、甘味と酸味を合わせることで体の潤いを生み出すという薬膳の知恵からきています。シンプルな材料ですが、体への働きは本格的です。

 秋の養生は、冬の健康への備えでもあります。今の季節に潤いをしっかり蓄えておくことが、冬を元気に過ごすための土台になります。「もしかして陰虚質かも?」と気になった方は、ぜひ当研究所の体質チェックもお試しください。あなたの体質に合った食材や養生法を、一緒に見つけていきましょう。

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